葉面散布の必要性
農家じゃない方の中には「葉面散布って?」という方もいらっしゃることでしょう。
葉面散布とは「液体にした肥料を葉に散布し、葉から吸収させる」とことです。
この葉面散布で吸収される栄養は持続的なものではなく、即効性のものです。
農業現場では、天候不順や成り疲れなどの要因により、土壌に施す肥料だけでは十分ではないことが多々あります。特にそんな時は葉面散布が有効です。
第一に樹勢維持 第二に品質向上
この順番を間違えてはいけません。順番を間違えると、資材に対して過度な期待をしてしまいます。
肥料屋としても、「糖度が上がりますよ」、「玉太りしますよ」という甘い言葉を使いますが、それも健全な樹勢維持が出来ているからこそです。
樹勢維持と書けばすぐに窒素の補給と思われる方も多いでしょう。
しかし、健全な樹勢とは栄養のバランスが良い状態のことを言います。
リン酸が不足していれば、リン酸を補給してやることが樹勢維持につながるのです。
葉面散布のもう一つの利点として、液体肥料であるが故に様々な栄養を与えることができます。
現在、様々な資材が販売されていますが、弊社は
1. 三要素+微量要素(微量要素の必要性参照)
2. アミノ酸(アミノ酸について参照)
3. 糖(糖度アップ、光合成促進)
この3種類の散布を徹底することを勧めています。
適切な管理と必要な栄養を補給してやれば、自然と高品質な作物が出来上がるのです。
葉面散布の考え方
農家の中には、「葉面散布=魔法の水」くらいの期待をされる方が少なからずいらっしゃいます。
この資材を散布すれば、すぐに玉が太り、糖度が上がると言った具合にです。
またそんなオカルトのような宣伝をする販売店やメーカーもあります。
その期待感はよくわかります。それを目標に皆が毎日仕事しているんですから。
だからこそ、弊社も製品の向上は常に考えています。
しかし残念ながらそんな魔法の水のような資材は存在しませんし、これからも出現することはないでしょう。
なぜならば、植物は農家が求めるような急激なスピードで生育しないからです。
人間だって同じです。
現在は様々なサプリメントが販売されていますが、体調が悪い時にちょっとサプリを飲んだからと言って、急激に回復することはありません。
サプリメントは継続して摂取することに意味があるはずです。
また、毎日の栄養管理と体調管理が健康な日々を送るための基本であることはみなさん理解しているはずです
つまりは葉面散布剤も同じです。継続ある散布が必須なのです。
そして、自分自身の体なら実感でわかるのですが植物は口も聞かないので、よ~く観察しなければいけません。
この観察と基本管理ができなければ、葉面散布剤は使わないほうがいいくらいです。お金の無駄になりますよ。
しかし、きちんと散布すれば必ずその効果(変化)はあります。その効果を出すのは農家次第です。
実践から感じたこと
3年前に始めたみかん栽培を通して改めて実感したことですが、農業は自然の中で栽培するために、当然ですが自然の恩恵を受けて成立しています。
自然の中では人間ができることなんて、ちっぽけなものです。
それは栽培する人間、資材を製造する人間、双方共に言えることでしょう。
もしかしたら、人間ができることは自然の力に比べれば10%にも満たないかもしれません。
しかし悲観することはありません。自然は万人に平等です。
ならば、それを0にも10にもすることは人間でできることなのです。
その中で、必要な栄養を補給することは当然のことではないでしょうか。
みかんは露地栽培のために雨量がどれだけ降って糖度が下がろうが、温暖化の影響なのか着色が遅れようが、雨が多くて浮皮になろうが、受け入れるしかありません。
しかし対策はあります。
糖が下がるようならば、糖を与え、着色が遅れるようならば、促進する資材を使用し、浮皮になるようならばリン酸とアミノ酸で防止する。
自然なんですからもちろん100%なんてありえませんが、この葉面散布を徹底して行うことで他者に比べてかなり防止できます。
「やったことは必ず自分に返ってくる」ことをみかんの木から学ばせてもらいました。